日本版スチュワードシップ・コードの受入れについて

当社は、責任ある機関投資家として、適切にスチュワードシップ責任を果たすため、「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫を受け入れます。

「スチュワードシップ責任」とは、機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、「顧客・受益者」(最終受益者を含む)の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を意味します。

日本版スチュワードシップ・コードは金融庁によって策定され、以下の8つの原則が示されています。

「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫
~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~

当社に適用される日本版スチュワードシップ・コードの各原則について、以下のとおり方針等を定めております(2020年6月30日現在)。

【原則1】スチュワードシップ責任を果たすための基本的な取組方針

「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫において、機関投資家はスチュワードシップ責任を果たすことが期待されています。
当社は主として日本の投資家に対し、内外の有価証券の運用サービスを提供する資産運用会社として、お客さまの資産について、適切なリスクコントロールのもと中長期的な成長を図ることを目標とし、特にボトムアップ・リサーチに基づくアクティブ運用においては、投資対象企業のファンダメンタルズを分析するとともに、ESG(環境・社会・ガバナンス)要素等の非財務情報も考慮し、企業との対話を通じて企業の投資魅力度を判断する運用を行なっています。そのスタンスは日本版スチュワードシップ・コードの意図するところと合致しており、これを受け入れることを表明します。
投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすための基本的な取組姿勢は以下のとおりです。

  • 個別銘柄のボトムアップ・リサーチに基づくアクティブ運用において、アナリスト、ポートフォリオ・マネジャーを中心に投資ユニバースを設定し、投資対象企業の事業状況、将来性について的確に把握すべく、継続的に企業調査・分析を行っていきます。
  • 投資対象企業の経営層との対話の機会を捉えて、投資対象企業との認識の共有を図るとともに、投資対象企業の経営状況に関して課題を認識した場合には、投資対象企業の成長を促す働きかけが重要であるとの認識のもと、必要に応じて問題の改善に資する建設的な対話を求めることに努めます。
  • 経験あるアナリスト、ポートフォリオ・マネジャー・チームの強化に努め、適切な投資判断が行える運用力の向上、およびスチュワードシップ活動を行うための実力の向上に取組んでいきます。
  • スチュワードシップ責任を果たすための方針をホームページに公表するほか、スチュワードシップ責任をどのように果たしているかについて、毎年、社内において報告を行うとともに、ホームページにもその概況を掲載し、広くお客さまに開示を行います。
  • パッシブ運用においては、主に議決権行使や協働エンゲージメントを通してスチュワードシップ責任を果たします。

なお、当社は、本コードが念頭に置いている日本の上場株式に加えて、他の資産についてもスチュワードシップ責任を果たせるよう体制整備に取組んでいきます。

【原則2】スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反についての考え方

当社は、受託者責任を果たすため、お客さまの利益を第一に行動します。
お客さまの利益と、当社およびグループ会社または他のお客さまとの間の利益相反については、対象取引の類型・管理等について明確化した社内規程を定め、適切なコンプライアンス態勢のもと管理を行います。現時点で想定される、以下の利益相反行為の事例については、社内規程等に則り適切に管理を行い、お客さまの利益を第一に行動します。

  1. 1.有価証券の投資判断における利益相反
    有価証券の投資判断において、当社およびグループ会社と資本関係あるいは取引関係のある企業の有価証券に関して、お客さまの利益に反する投資判断が行われる可能性がありますが、社内規程においてこれを禁止するとともに、投資行動が運用方針、運用ガイドライン等に沿って行われているかの社内モニタリングを通じて利益相反行為の発見、抑止に努めてまいります。
    また、お客さまの資産の運用において、当社およびグループ会社の発行する有価証券への投資は原則として行いませんが、法令諸規則等で認められた範囲で投資を行う場合にはお客さまに必要な情報を書面により開示し、同意を得た上で投資することにしています。
  2. 2.議決権行使における利益相反
    議決権の行使においても同様の事象が発生する可能性がありますが、議決権行使に関する規程や議決権行使に関するガイドラインを定め、全ての議案について客観的な行使判断を行う体制としています。なお、当社と取引関係のある企業に関する議決権行使結果で利益相反が疑われる場合については、事後的な検証を行うことにより利益相反行為の発見、抑止に努めてまいります。
    当社では、保険業法に基づき親会社である明治安田生命保険相互会社がグループ金融機関を対象に制定した「利益相反管理方針」に基づき、利益相反に係る包括的な管理規程として「利益相反管理規程」を制定し、その概要について公表しています。当社では、他の部門から独立したコンプライアンス・リスク管理部を統括部署とし、当社およびグループ内の金融機関の取引について、利益相反が生じ得る取引類型の特定、管理体制および管理方法の整備等により、お客さまの利益が不当に害されることのないよう、利益相反のおそれのある取引を適切に管理しています。
    社外取締役が過半数を占めるスチュワードシップ諮問委員会において、取締役会の諮問に基づき、議決権行使結果の検証、行使プロセスの検証等を行うことで、議決権行使をはじめとするスチュワードシップ活動における利益相反管理を強化しています。
    さらに、経営陣の主導により、経営の独立性・透明性を高め、資産運用を託される者として相応しいガバナンス体制・利益相反管理体制の強化に努めてまいります。

【原則3】スチュワードシップ責任を果たす観点からの投資先企業の状況把握に関する取組み

個別銘柄のボトムアップ・リサーチに基づくアクティブ運用において、アナリスト、ポートフォリオ・マネジャーを中心に投資ユニバースを設定し、投資対象企業の事業状況、将来性について的確に把握すべく、継続的に企業調査・分析を行っています。
企業調査・分析にあたっては、“成長性”、“マネジメント・クオリティ”、“バリュエーション”を評価のキーワードに置き、対象企業への直接訪問や来社等による経営トップや財務・IR担当者等との面談を通じて、成長のシナリオを実現する能力が現経営陣にあるかどうか判断するほか、企業主催の決算説明会等への参加を通じて成長性の判断を行います。また、財務内容の健全性や株価のバリュエーションなどの財務的要素に加え、環境(E:Environment)、社会(S:Social)、企業統治(G:Corporate Governance)といった非財務的要素についても、受託者責任に反しない範囲で、適切に考慮した投資判断を行います。

【原則4】投資先企業との対話に関する取組み

当社は、投資先企業の中長期的な持続的成長を促すべく、より中長期的な視点に立った対話や議決権行使を行い、インベストメント・チェーンの一員として持続可能な社会の形成に貢献します。
企業調査・分析の過程における投資対象企業の経営層との対話の機会を捉えて、投資対象企業との認識の共有を図るとともに、投資対象企業の経営状況に関して課題を認識した場合には、投資対象企業の成長を促す働きかけが重要であるとの認識のもと、必要に応じて問題の改善に資する建設的な対話を求めることに努めます。
当該対話において未公表の重要事実の受領を回避するため、社内規程において法人関係情報またはそれに該当するおそれのある情報を知り得る可能性のある者に対し、当該情報を提供するよう働きかけることを禁止するとともに、「法人関係情報またはそれに該当するおそれのある情報を話さない」よう冒頭に申し出ることを励行しています。万が一法人関係情報を受領した場合には、社内規程に則り適切に管理します。
また、当社では、原則として単独での対話活動を行いますが、他の機関投資家と協働して対話を行うこと(協働エンゲージメント)が有益と判断する場合には、その検討も含め柔軟に対応していきます。
パッシブ運用の投資対象企業との対話については、主に議決権行使や協働エンゲージメントを通して、企業価値向上ならびに株式市場全体の底上げに貢献できるよう努めてまいります。

【原則5】議決権の行使と行使結果の公表についての考え方

当社は、お客さまの利益向上を目標として議決権行使に関する規程および議決権行使に関するガイドラインを定めています。アナリストを中心に個別案件の精査を行い、ガイドラインと異なる判断が適切と考えられる場合には別途協議を行い、ガイドライン以外の内容での行使も可能とするなど、日常の企業調査活動における企業との対話を通じて得られた情報も踏まえ、企業の持続的成長を促す観点も交えた行使判断を行っていきます。
個別精査を行う日本株式銘柄については客観的な判断基準(ROE水準、社外取締役の導入および報酬に関する情報開示等)に基づき当社の責任と判断で議決権の行使を行っていきます。
また、議決権の行使をスチュワードシップ責任遂行のための投資家の意思を表明する重要な機会と捉え、コーポレート・ガバナンスの観点からの評価も踏まえた行使判断を行うことにより、投資先企業の社会的価値の向上、持続的成長に繋がる議決権の行使を目指していきます。
さらに、「議決権行使に関する基本方針」および「議決権行使ガイドライン」をホームページに開示するとともに、議案の主な種類ごとの集計結果による議決権行使結果に加え、個別の投資先企業および議案ごとの議決権行使結果および賛否の理由についても開示していくことで、議決権行使の透明性確保を図ります。なお、お客さまとの投資一任契約に関しては、個々のお客さまの要請に応じて議決権行使に関する社内規程、議決権行使結果の開示を行っていきます。

【原則6】スチュワードシップ責任をどのように果たしているかについてのお客さまへの報告

当社は、議決権行使の状況や対話活動などを記録するとともに、定期的に振り返りを行う社内委員会を設置し、スチュワードシップ責任を果たすための活動の改善に努めます。
また、スチュワードシップ責任をどのように果たしているかについて、定期的に社内において報告を行うとともに、ホームページにもその概況を掲載し、広くお客さまに開示を行います。

【原則7】スチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力養成

スチュワードシップ責任を果たすにあたっては、企業との対話能力、調査・分析力、議決権行使における判断力が重要となります。このため、経験あるアナリスト、ポートフォリオ・マネジャー・チームの強化に努め、適切な投資判断が行える運用力の向上、およびスチュワードシップ活動を行うための実力の向上に取組んでいきます。
当社の経営陣はスチュワードシップ責任を果たすための適切な能力・経験を有しており、人材育成はもとより、責任投資に関する事項全般を担う「責任投資部」の設置、対話活動・議決権行使結果の振り返り等を定期的に行う社内委員会の設置など、体制強化とともに課題への取組みを推進しております。国連責任投資原則(PRI)活動への参加など、他の投資家や専門的知見を有する者との意見交換等を通じて、スチュワードシップ活動のより一層の研鑽および効果的な運用に努めるとともに、自己評価を定期的に行い、その結果を投資先企業との対話を含むスチュワードシップ活動の結果と合わせてホームページに公表いたします。

サステナビリティ・レポート

スチュワードシップ活動に関する考え方、推進体制、具体的な取り組み等については、「サステナビリティ・レポート(第2部)」にて詳しくご説明しております。

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